Let's Use ひきだすにほんご! ~Examples of use~
他の実践例を見る
※この記事は、第36回タイ国日本語教育研究会年次セミナーでの発表(本田雅美・西島阿弥子(2024)「ひきだすにほんご Activate Your Japanese!」の3つのコーナーを用いた自己表現活動の試み」)をもとに、新たに書き下ろしたものです。
日本語国際センターでは、教師研修を実施しています。教授経験6か月以上5年未満の日本語教師を対象とした2023年度の基礎研修では「映像視聴プラス」という科目が設定され、「ひきだすにほんご」を用いた授業を行いました。
この研修ではプレースメントテストによって1~4の4つのクラスに分かれます。今回授業をしたのはB1.1レベルを目指す「2クラス」です。授業の参加者は、10か国から集まった10名のノンネイティブの教師(インドネシア、ベトナム、ミャンマー、ラオス、インド、キューバ、コスタリカ、メキシコ、ペルー、エジプト)でした。
2クラスの参加者は日本語運用について以下のような切実な悩みを抱えていました。
これらの課題を解決するため、番組「ひきだすにほんご」が掲げる「今持っている力を引き出し、自分を表現することを楽しむ」というコンセプトを授業の核に据えました。
授業では、「ひきだすにほんご」の3つのコーナーをすべて使って授業をしました。授業は50分×2コマ(計100分)を週1回、合計4回行いました。4週目の授業では、「津々浦々日本のセンパイ」のコーナーから着想を得て最終タスクとして「2クラス十人十色」という自己表現活動を行いました。
「津々浦々日本のセンパイ」は、日本で働くセンパイを紹介する5分間のドキュメンタリーコーナーです。日本に興味をもったきっかけや、仕事ぶり、生活の様子などを通して、その人の考え方や人柄が自然に伝わってくるところが大きな魅力です。
そこで本授業では、研修参加者自身が「日本語学習のセンパイ」として、自分の学習者に日本語学習の楽しさや工夫を伝えるという最終タスクを設定しました。この活動を通して、参加者が自分自身を見つめ直すとともに、それぞれの考え方や人柄もクラスメートに伝わる、意味のある活動になるのではないかと考えました。
活動の目的:
日本語学習者としての自分自身をふり返り、日本語学習の楽しさや工夫を再確認する
具体的な内容:
参加者は、「ひきだすにほんご」の各コーナーで学んだ要素を盛り込みながら、以下の項目について、グループに分かれて各自10分で発表を行いました。
最終タスク「2クラス十人十色」の内容を踏まえ、第1回から第3回の授業では、コミュニケーションのためのストラテジーを扱っている「スアン日本へ行く!」から、参加者にとって役立つと思われる5つのストラテジーを選び、番組の視聴→ストラテジーの理解→練習/ロールプレイを行いました。
また、自分の気持ちを伝える方法として「気持ちが伝わるオノマトペ」から6つのオノマトペを選び、視聴→オノマトペの意味の推測・確認→シナリオプレイ→会話作りを行いました。
上記に加えて、第3回目には「津々浦々日本のセンパイ」を視聴しました。研修参加者と年齢が近いアマニさん(インドネシア)の回を視聴し、日本・日本語に興味をもったきっかけ、日本での仕事、日本でのお気に入り等について、内容を確認し、印象に残ったことをグループで話し合いました。
授業の終わりに、最終タスクの説明を行いました。「ひきだすにほんご Activate Your Japanese! 内容一覧」を配付し、紹介するストラテジーやオノマトペについては授業で扱ったものでも、授業で扱わなかったものでもどちらでもよいことを伝えました。発表までの準備期間は1週間で、アマニさんの回を見ていたため、自分たちがどんなことをするのかについての理解がとてもスムーズでした。
参加者の発表の例を見ていきましょう。
出会い
ベトナムからの参加者Aさん
メキシコからの参加者Bさん
ベトナムのAさんは日本の質のよい「電気製品」がきっかけで、メキシコのBさんは「アニメ・ようかい」がきっかけで、日本に興味をもちました。日本に興味をもつきっかけは、実にさまざまですね。
課題とストラテジー
ベトナムからの参加者Aさん
 
ベトナムのAさんは、「十人十色」の発表で使う動画を一緒に撮るために、ストラテジーを使って上手にお願いができています。
インドネシアからの参加者Cさん
 
インドネシアのCさんのおすすめは「特徴を並べる」というストラテジーですが、「ポケモン」の例が出ているところにオリジナリティを感じます。
オノマトペ
インドネシアからの参加者Cさん
 
インドネシアのCさんの好きなオノマトペは「こつこつ」。きれいな文字が書けず、毎日こつこつと練習した結果を動画で見事に表現していました。
ラオスからの参加者Dさん
 
ラオスのDさんの好きなオノマトペは「ぎりぎり」。このオノマトペはよく使っていたということで、動画の設定もとてもリアルでした。
とっておきの一枚
コスタリカからの参加者Eさん
キューバからの参加者Fさん
コスタリカのEさんは紅葉をとっておきの一枚として紹介しました。形や色の豊富さが印象に残ったようです。キューバのFさんのとっておきの一枚は「星空」。暗い夜空に書が星のように輝いて見えたのでしょうか。
友だちと話しているとき、「自分が知っている言葉で言えることを言う」というストラテジーを使いました。自分の言葉を使って、楽しく話せました。
コンサート会場に入るとき「わくわく」と言った。
食べ物を説明するときに使うことばが広がった。「サクサク」「じゅわー」など。
グループでの発表だったので、本当に安全な感じで発表ができた。この活動のための準備も面白かった。みんなの色がよく見えた。他の人の発表を見て、勉強になった。
研修参加者の感想からは、ストラテジーやオノマトペを実際のコミュニケーションの中で活用できたことがわかります。また、「みんなの色がよく見えた」という感想は、授業者としてこの活動の目的が伝わったと思う瞬間で、この活動をやってよかったと思いました。よかったらみなさんもこの活動をヒントに、クラスでの自己表現活動をやってみてください。
(本田雅美/日本語国際センター 日本語教育専門員)
Sorry, this page is only available in Japanese.
このページは日本語のみでご覧いただけます