Let's Use ひきだすにほんご! ~Examples of use~
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国際交流基金パリ日本文化会館(MCJP)では『まるごと 日本のことばと文化』を使った日本語講座を初級から中級まで開講しています。今回は『まるごと中級2』を使って学習している「中級Ⅲ」のクラスで「ひきだすにほんご」を活用しました。
入門からひたすら『まるごと』で学習を続けてきた人たちは、少し『まるごと』疲れも見えてきていました。前の学期に『まるごと』ではない素材を使って学習したいという声も聞こえてきていたので、今学期は以下の流れでデザインしました。
このうち「ひきだすにほんご」は
「スアン日本へ行く!」
ポイントはドラマを楽しんでもらうための「質問に答えることによる内容理解確認」とテーマである「本日のストラテジー」の学習です。上記(4)の視聴の仕方は担当教師によってやり方が異なっていました。ドラマを楽しむことに重点を置くか、それぞれのストラテジーの気づきに重点を置くかの違いでしたが、学習者はどちらの場合も楽しく学んでいたようです。
内容理解は毎回4つの用意された質問に答えることで確認しました。24回分の質問の一覧表はこちらからダウンロードできます。
ストラテジーを学習した後には実際に使ってみる練習もしました。例えば、思い出せない言葉の一部分を「なんとか」に置き換えるストラテジー(第4回)を学習した際には、学期が始まって間もない頃だったので、担当教師の写真を見せて名前を聞いてみました。すると、「み、なんとか先生!」「みうら、なんとか先生!」のように次々と答えてくれ、学習したストラテジーを楽しんでいる様子が見られました。
「スアン日本へ行く!」第4話より
いつも最後に「何か気になった表現などありますか」といった問いかけをしていましたが、ある日、学習者の一人が「今日のドラマの中で作家さんが「いまいち」と言っていました」と指摘しました。前半の『まるごと』の時間に「いまいち」という表現を学習していたので、それがドラマの中で使われていたことに気が付いて話してくれたのです。動画の該当箇所を確認すると、まわりの学習者もみんな「ほんとだ」と盛り上がっていました。
1学期中3回行ったオノマトペの学習は全部で24のオノマトペ表現から12の表現を選んで
「気持ちが伝わるオノマトペ」の動画は大変わかりやすく、会話例もあるので意味や使い方がよく理解できたようでした。最後に今日のオノマトペを使った例文をみんなで作りました。いくつか例を挙げます。
「テストの後で、頭はへとへとです。」
「女性のきもちがわからなくて、もやもやしています。」
「毎日ラーメンを食べたから、どんどん重くなります。」
ねえ、個性的でおもしろいでしょう。
このクラスでは最後のテストで「学んだストラテジーから一番印象に残っているものについて、一つ選んで自分の経験や感想をフランス語で書いてください。」という問題を出しました。いろいろな答えがありましたが、一つ紹介したいと思います。
4年前、フランス語も英語も話せない日本人と散歩に出かけることがありました。1時間、私たちは日本語で話をしようとしました。この方は以前レストランで料理人をしていたそうで、自分の仕事との共通点を探したところ(第5話ストラテジー)、以前日本の鉄板焼きレストランの仕事を、ある建築家と一緒にしたことを思い出しました。この仕事のことについて説明したかったのですが、話すための言葉をあまり知りませんでした。それでも、気後れせずに挑戦しました(第3話ストラテジー)。話しはじめて数時間後、この方は、他の友人に、私が自分の日本食レストランを開く計画があるというふうに伝えました。残念ながら、正確には説明できていませんでした。相手がおおよそ理解できているかを確認すべきだったと思いますが(第8話ストラテジー)、彼は全く別のことだと理解していたようです(笑)
注) 第3話: 自分が知っていることばで言えることを言う
第5話: 共通の話題を見つけて話しかける
第8話: 相手に確認しながら話す
「ひきだすにほんご」は今まであまりなかった新しい学びに焦点を当てた優れた教材だと思います。私たちといっしょに学んだ学習者の方々もまさにそれを感じてこのような経験を思い出してくれたのだと思います。これからももっとたくさんの学習者の方々とこの教材でいっしょに学んでいきたいと思います。
(三浦 多佳史・谷口 萌子/国際交流基金パリ日本文化会館)
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